電気保全で”嫌な故障”3選

⚡電気トラブル⚡

ご安全に!まんぬです👷‍♂️⚡

電気保全をやっていると、故障そのものの大きさより、 故障の”性質”でしんどさが決まる場面があります。

壊れた→原因を特定→直す。 このルートで進む故障は、大変だけどまだいいんです。

本当に嫌なのは、「追えない」「たどり着けない」「そもそも再現しない」タイプ😇

再現せず、しかもクソみたいな状況説明しかしてこないのに「見解を出してくれ」とかいわれても、正直どうしようもないですよね!

今回は、電気保全で「これ来たら嫌だな」と感じる故障を3つ挙げて、 それぞれどう向き合うかを整理します。

全部なくなれとは言いませんが、せめて1回目で詰まない状態にはしておきたい。


① 呼ばれたけど再現しない。しかもログがない。👻

嫌な故障の筆頭です。

現場から故障したから見てほしいと連絡が来て、時間がない中駆けつけるが、着いたときにはもう動いている。

オペレーターに聞いても「さっきは止まってたんですけど…」としか情報がない。 設備が古くてPLCにログ機能がない。 あるいはそもそもPLCがなくリレー回路だけで組まれている。

再現しないから原因の特定ができないから「様子見で」と言って帰ると、また呼ばれる🔁

これが一番ストレスの溜まるパターンです。

どう向き合うか 🔧

再現しない故障で最初にやるべきは、原因を当てることではありません。

「次に再現したときに情報が残る状態を作ること」が初手です。

具体的には、

・いつ?(何の運転中に止まったか)

・何の直後に?(操作、切替、特定の動作の後か)

・前回からどのくらい間隔が空いたか?(頻度は増えているか)

を聞きます。これだけで、操作員の”感想”が”条件”に変わります。

質問を増やすとブレるので、この3つに固定するのがポイントです💡

この「違和感を条件として拾う」考え方は、 前回の記事(設備が止まる前に出る”いつもと違う”の拾い方と対策の型)で詳しく整理しています。

最低限の測定を仕掛ける。 設備に大きな手を入れなくても、できることはあります。

・テスターを端子に当てっぱなしにして、電圧変動を見る

・温度ラベルを貼って、異常発熱の有無を確認する

・安価なデータロガーを電源ラインに噛ませて、瞬断や電圧降下を記録する

PLCがあれば、カウントアップ等を利用して監視用の回路を仕掛ける。

再現を待つ間、このような仕掛けをしておけば、次に起きたとき手がかりが残ります。

あとは原因不明であることをしっかり記録として残すことも重要です。 原因が分からなくても、条件と状況だけは記録しておけば後の手がかりになることもあります。

日時、設備名、症状、運転状態、操作員の証言、確認したが異常がなかった箇所。 これがゼロだと、3回目も4回目も毎回振り出しに戻ります。

逆に3回分の記録があれば傾向が見えることがある。 「夏場だけ出る」「特定の品種のときだけ出る」「月曜の立上げ直後に多い」。 原因不明でも記録は資産です📝

そしてもう一つ大事なこと。当然ですが、「再現しない=問題ない」ではありません。

再現しない故障を放置した結果、ある日突然本格的に壊れるケースは珍しくないです🔥

再現しないうちに仕掛けを置くのが、一番コストが安い対策です。


② 現象と原因が離れている 🔍

これもよくあるパターンです。

例えば搬送設備。

「張力がおかしい」「速度が安定しない」と言われ、制御パラメータを確認、駆動系を点検するが、電気的には異常が見当たらない。

実際の原因は全然別の場所にあり、たとえば搬送ロールの表面が摩耗や汚れで滑りやすくなっていて、 搬送物がスリップしている。 その結果張力が変動し、制御系が追従しきれずに暴れる。

見た目は制御がおかしいだけですが、真の犯人はロール表面の物理的な変化です🕵️

電気担当がロールの管理をしている職場はまあ少ないと思うので、別の担当者がいると思いますが、その担当者が「制御の問題でしょ」と他責施行になってロールの摩耗を見逃していると、お互い空振りし続けて時間だけが過ぎますよね⏳

こういうのも嫌なんです。
定時外でこういうやり取りしてるとほんと辞めたくなりますw

どう向き合うか 🔧

このパターンで一番効くのは、「何が変わったか」を時系列で追うことです。

制御がおかしくなった時期と、何かが変わった時期を照らし合わせます。

・部品を交換しなかったか

・品種や操業条件を変更しなかったか

・季節(温度・湿度)が変わっていないか

・前回の定期整備で何か触っていないか

そしてこのパターンの鉄則がひとつあります。

電気を疑う前に、物理的に何か変わっていないかを先に確認します⚙️

搬送経路の目視。ロール表面の摩耗・汚れ・異物・位置ずれ。 張力や速度の実測値と設定値の乖離。 いろんな人巻き込んでこれを先に確認するだけで、電気側の空振りが大幅に減ります。

電気のせいにされがちですが、犯人はメカ側にも潜んでいます。

ただし、メカが悪いで終わらせるのも違います。

電気担当としてできることは、メカの変化を拾える仕組みを持つことです。 制御の応答トレンドを記録しておけば、「いつから制御が追従しにくくなったか」が後で追えます。 監視ポイントの追加や、トレンドの定期確認を運用に入れておく。 これが、現象と原因が離れたトラブルに対する電気側の備えです💪

機械だ、電気だいう前に我々はプラントエンジニアなんでね。。。お互い歩み寄って守備範囲を広げていきたいところです。


③ 古い基板だらけの設備。追えない、分からない、部品がない。💀

制御盤を開けたら、FA屋として馴染みの薄い基板が何枚も並んでいる。

回路図はある。あるけど、部品レベルで追いきれない。というか追いたくないし、知見もあまりない。

また故障箇所の特定すら難しく、予備品の戦略も立てにくい。 壊れたら終わりの空気が常に漂っている設備。

特に古い設備で、設計時の技術者がもう社内にいない場合は、 本当に詰みます😇

どう向き合うか 🔧

基板故障で最初に判断すべきは、 「直す(修理する)のか、逃げる(代替)のか」の方向性です。

基板の部品レベル修理は、スキル・測定器・時間が揃わないと成立しません。 すべての故障に対してこれをやるのは現実的ではないです。

初手は「この基板は手に入るか」「修理業者が対応できるか」の確認でしょう。

整理すると、基板の入手性は大きく3段階に分かれます。

■メーカーから新品が出る。
→ 予備を持っておけばいい。一番楽なパターン。

■新品は出ないが、修理業者が対応できる。
→ 修理業者と事前に繋がっておく。 予備基板を確保して、故障時に修理に出すサイクルを回す。 「壊れた→慌てて業者を探す」だと間に合わないので、壊れる前に業者を見つけておくのが大事です。

■修理も不可。
→ 設備更新、または制御系のリプレース(PLC化など)を計画的に進めるしかない。 これが一番嫌なパターンですが、「いつか壊れる」と分かっているなら、 壊れる前に更新の話を動かしておくのが正しい判断です。

この「更新の話をどう通すか」については、 以前の記事(工場の設備更新提案が通らない理由:保全の危機感を数字に翻訳する)で整理しています。


嫌な故障に共通すること 🧩

3パターンに共通しているのは、「その場で解決できない」ことです。

壊れた→直す、で完結する故障は大変だけど嫌ではない。 嫌なのは「追えない」「見えない」「手が出せない」タイプ。

だからこそ、嫌な故障ほど事前の備えが効きます。

・①なら、捕まえる仕掛け(聞き方の固定・簡易測定・記録)

・②なら、変化点の記録(時系列の照合・トレンド監視)

・③なら、入手性の把握と更新計画

共通しているのは、 故障が起きる前に何を準備しておくかで、勝負が決まるということです。

このブログでは、こうした故障の前に打てる手を、 現場で使える形に整理して発信していきます🧰


次に読む記事 📝

違和感を拾って次の一手に変える方法は、こちらで整理しています。

👉 設備が止まる前に出る”いつもと違う”の拾い方と対策の型

設備の更新判断や予算の通し方はこちら。 👉

工場の設備更新提案が通らない理由:保全の危機感を数字に翻訳する


最後に

故障は避けられません。 でも、「嫌な故障で詰む」のは、備えがあれば避けられます。

今回挙げた3つはどれも、経験を積むほど遭遇する頻度が上がるタイプです。
1回目で全部解決できなくていい。 1回目で「次は詰まない」状態を作れるかどうかが、保全の強さだと思っています。

それではまた次の記事でお会いしましょう!

ご安全に 👷‍♂️⚡

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