何かトラブルが起きたとき、「あいつに任せよう」と真っ先に名前が出る人がいます。
上長が迷わず電話をかける相手。製造から「○○さんいますか?」と名指しされる人。
ではその人がチームで一番技術力が高いかというと、必ずしもそうではありません。
技術力では上の人がいる。経験年数だって自分より長い先輩がいる。それでも任されるのは、決まってその人です。
一方で、技術力は確かにあるのに呼ばれない人もいます。
周りの評価は「腕はいいけど、あの人に任せるとあとが大変」といった感じ。
何が違うのか。ワイはこれまで何人もそういう人を見てきましたし、自分自身もそう言われる側になってきました。
数年前までは頼られるどころか何か設備でトラブルがあると毎回犯人と疑われてましたけどね😇
今回は、両者の意外なシンプルな違いについて解説します。
技術力が高い人ではなく「解決に向けて動く人」が任される
最初に結論。任されるのは、技術力が飛び抜けている人ではなく、「解決に向けて奔走してくれる人」です。
自分の技量がまだ十分でなくても、解決のために動き回ってくれる人。
自力で直せない故障でも、手段を探し、人を巻き込み、復旧までの道筋をつけてくれる人。
上司やリーダーが任せようと判断するとき、見ているのはそこです。
逆に、技術力があっても振られた範囲しかやらない人は任されません。直せるけど報告が遅い。直したけど記録は残さない。復旧したけど何をやったか誰にも分からない。技術はあるのに、周りから見ると安心できない。
そういう人は、能力の割に声がかからなくなります。
皮肉な話ですが、自分で全部直せる人より周りを巻き込んで復旧させる人のほうが、組織としては頼りにされます。属人化しないからです 🏭
保全の仕事は「直す」だけではない
保全という仕事、当然ですが直すという作業は全体のほんの一部です。
故障が起きたら、まず情報を集める。設備の状態を確認する。停止の影響範囲を把握する。状況を上司や製造に伝える。必要なら部品を手配する。資料や図面を引っ張り出す。メーカーに連絡する。そして復旧後に記録を残す・・・・
「直す」はこの流れの中の一工程にすぎません。
直す以外の部分:情報収集、連絡、手配、記録・・・をちゃんと回せる人が、結果的に任される人になっています。
技術力を磨くことはもちろん大事ですが、最初に評価されているのはそこではありません。
ここをよく考えてみると、保全の仕事の本質が見えてきます。設備を復旧させることはあくまで過程であって、最終目的はラインの停止時間を最小化することです。
ラインが1時間止まれば数十万円〜数百万円の損失が出ます。その損失を最小化できる人が任される人になる。
技術力はそのための手段の一つにすぎません 📋
「任される人」がやっていること
では、任される人は具体的に何をやっているのか。
特別なことではありません。当たり前のことを確実にやっているだけです。
状況を早く正確に伝える
「○○設備の○○が停止しています。現在確認中です」
たったこれだけの一報で、周りの動きが変わります。
製造は代替手段を考え始める。上司はフォロー体制を検討する。他の担当者は自分の作業を調整する。一報が入るだけで、全体が「動ける状態」になります。
逆に、伝えない人は一人で抱えます。
「もう少し調べてから報告しよう」と思っているうちに30分が経つ。周りは何が起きているか分からない。フォローが遅れる。結果的に停止時間が延びる。本人は真面目に調べているのに、周りからは「何やってるか分からない人」に見えてしまう。もったいない話です。
最初の一報は、正確さより速さです。
「原因は分かっていませんが、○○設備が停止しています」で構いません。原因が分かるまで報告しない人と、状況だけでも即座に共有する人。この差が、ラインの停止時間30分の差になることは珍しくありません 📞
自分で解決できないときの動きが速い
任される人は、自分で直せないと判断したときの切り替えが速いです。
メーカーに問い合わせる。図面を探す。過去の故障記録を引っ張り出す。別の担当者に聞く。自分以外のリソースを動かすスピードが速い人は、結果として復旧も速くなります。
一方、自分で何とかしようと粘りすぎる人は、時間だけが過ぎます。もちろん自力で解決する力は大事です。でも、30分調べて方向性が見えないなら、次の手を打つ判断をする。この切り替えの速さが、復旧時間の差になります。
メーカーに電話するのは負けではありません。
過去の記録を探すのも、先輩に聞くのも、全部解決のためのアクションです。自分一人で完結しようとすることが目的ではなく、設備を復旧させることが目的です。ここを履き違えると、腕はいいけど、復旧が遅い人になります 🔍
終わったあとの報告と記録を残す
復旧して終わりではありません。
任される人は、何が起きて、何をして、どうなったかを記録に残します。
これがあると、次に同じことが起きたとき、別の人でも対応できます。
「前回この故障が起きたとき、○○を確認して、○○を交換して復旧した」・・・この記録が1枚あるだけで、次の担当者の初動が変わります。
記録がないと、同じ故障が起きるたびにゼロから調べ直しです。
前回と同じことを別の担当者がもう一度やる。それは時間の損失であり、チームとしての学習が蓄積されていない状態です。
もっと言えば、記録がないと、前回どうやって直したかを知っているのは対応した本人だけ。これは属人化そのものです。
記録は自分のためだけでなく、チームのために残すものです。
そして記録を残す人は、「あの人に任せると、あとの人も困らない」という信頼につながります 📝
まとめ
任される人は、技術力が飛び抜けているわけではありません。解決までの全体を回せる人です。
状況を伝える。自分で無理なら人を動かす。終わったら記録を残す。
どれも特別なスキルではありません。
でも、これを毎回確実にやっている人は驚くほど少ない。
だからやる人が目立つし、信頼されるし、次も任される。
技術はあとからついてきます。
まず動き方を身につけるだけで、現場での立ち位置は確実に変わります。
そして「任される人」がチームに一人いるかどうかで、そのチームの復旧スピードも、停止による損失額も、まるで違ってきます 🔧
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