無線振動計を導入して分かったこと ── 見えるもの・見えないもの・プラットフォームの話

📊保全DX📊

ご安全に!まんぬです👷‍♂️⚡

DX。流行ってますよね。ワイも大好きです。

でも保全はやらせてもらえません(爆)

今回はモーター等の予知保全に使われる振動計のお話です。

導入前ワイ「故障予知?ほんまかいな。センサ付けたら壊れる前に分かるとか、通販の広告かよ」

導入後ワイ「なめたこと言ってすみませんでした。(手のひらドリル)」

弊職場でも無線振動計を導入して、世界変わりました。

見えるようになったものは確かにデカい。

ベアリングの摩耗を壊れる前に検知できたときは、「これがDXか…」と震えました。

本当に傾向が明らかに変わって、見たら故障一歩手前なんです。

ベアリングがガタガタだったり、軸受けやられてたりで、マジで優秀です。

ただ、当然万能じゃないです。

まず振動に出ない故障モードは当然見えないし、センサを付けただけではデータ取ってるだけの宝の持ち腐れになります😇

この記事では、無線振動計を導入して分かった「見えるもの」「見えないもの」「プラットフォームの話」の3点を整理します。

半信半疑だったワイが手のひらをドリルした経緯と、「でもここは期待しすぎるな」というラインを正直に書きます。

見えるようになったもの ── 導入して一番デカかった変化 🔍

モーター「ワイ、最近ちょっと調子悪いんですけど…」

振動計「はい。上昇傾向出てます」

ワイ「ちょ、おま有能すぎんか???」

導入後、あるモーターにおける計測値が直近3ヶ月で約2倍に上昇しているのをトレンドで確認しました。

この時点ではモーター自体は普通に回っています。

音もよく聞けばわかるけどうるさい現場だと気づかない。通常の操業中では拾えないレベルの変化です。

データを根拠に点検を実施したところ、ベアリングがガタガタでした。

内輪の摩耗が進行していて、あと数週間放置していたら軸がブレてモーター焼損の可能性もあった状態です。

壊れる前に気づけた、計画的にベアリングを交換できた。

ライン停止、緊急対応共に

ZERO~♪

・・・はい、これが予兆診断の威力です。

導入前なら、こうなっていました。

  • ある日突然モーターが止まる
  • 緊急対応で駆けつける
  • ベアリング交換だが部品の在庫がない
  • 手配に2日かかる
  • その間ライン停止。1日あたりの損失が数十万〜数百万円規模になるラインなら、2日で数百万円が飛ぶ
  • 金曜16:30に壊れたら週末返上😨(これが一番許せない)

ベアリング交換の部品代は数千円〜数万円です。

一方、突発停止で発生するライン停止損失・緊急手配費・休日出勤の人件費を合算すると、数十万〜数百万円、場合によっては数千万円に膨れます。

数千円の部品代をケチってこんなに停止損失を食らうのは、控えめに言ってバカ経営的に正気じゃないです。

「壊れてから対応する」が「壊れる前に手が打てる」に変わる。
たったこれだけのことですが、現場と経営、両方へのインパクトがめちゃくちゃデカいです。

もう一つ大きいのが、判断の根拠が増えることです。

導入前は「異音がする気がする」「振動が大きい気がする」という五感頼みでした。
「気がする」で上に報告しても「気がするんですね。で?」で終わります😇

導入後は「振動値が直近3ヶ月で1.5倍に上昇しています。トレンドはこれです」とデータで言えます。
「気がする」が「データで出ている」に変わるだけで、報告の説得力が全く違います。
稟議を通すときも「データに基づいて計画交換を提案しています」と言えるので、「まだ動いてるでしょ」を食らう確率が下がります。

見えないもの ── 振動計で拾えない故障モード ⚠️

ここからが大事です。

まあ当然なんですが、「振動計入れたから全部見える」は幻想です。

振動計で見えるのは、振動に出る故障モードだけです。

見えるもの:

  • ベアリングの摩耗
  • 軸の偏芯(回転軸の中心がずれている状態)
  • アンバランス(回転体の重量バランスが崩れている状態)
  • ルーズネス(締結部の緩み。ボルトが緩んで振動が出る)

ここまでは振動計の得意分野です。
振動として物理的に現れるものは、しっかり拾えます。

一方、見えないもの:

  • コイルの劣化(絶縁劣化は振動に出ない)
  • 電子部品の熱劣化(盤内の熱で壊れるパターン。No.16の記事で扱った話です)
  • 配線の接触不良
  • 制御系の異常(PLCやインバーターの内部故障等)

コイル「ワイ、絶縁劣化してるんですけど…」
振動計「すまん、それワイの管轄外です」
コイル「😇」

振動に出ない故障モードは、引き続き別の傾向監視が必要です。

  • 絶縁抵抗測定(メガテスター)でコイルの健全性を確認
  • 温度監視(サーモカメラ、温度ラベル)で異常発熱を検知
  • 電流値のトレンド監視で負荷の変化を把握

最近は内部の素子が劣化したらアラームを出す等、自己診断機能がついているものもありますね。

いずれにせよ振動計は見える範囲を広げるツールであって全部見えるツールではないです。

何が見えて何が見えないかを把握した上で使う。
これを理解せずに導入すると「センサ付けたのに壊れたんですけど???」になります。

振動計に全幅の信頼を置いて、他の点検を止めてしまう。

救急車を呼べるからって健康診断やめるのと同じです。

道具のカバー範囲を正しく理解して、他の監視手段と組み合わせる。

これが導入のスタートラインです。

振動計をつけただけじゃダメ ── プラットフォームの整備が勝負 🏗️

センサを付けた。数値が取れるようになった。

で?

煽りでもなんでもなく、この「で?」が実は一番重いです。

データが取れるだけでは、判断にも行動にも繋がりません。

重要なのはプラットフォームの整備です。

センサは「データの入口」、プラットフォームは「データの出口」。

出口がなければ、入口だけあっても意味がないです。

プラットフォーム次第で変わること:

  • データの見せ方
    → 数値一覧だけだと誰も見ない。トレンドグラフにして「この3ヶ月で1.5倍に上がっている」が一目で分かる形にする
  • 誰が見るか
    → 現場担当が毎日確認するのか、リーダーが週次レポートでチェックするのか。閲覧者を決めないと「誰も見ていないダッシュボード」が完成する
  • どういう基準でアクションに繋げるか
    → 振動値が基準の1.5倍を超えたら通知を飛ばす、2倍を超えたら即点検、等のルールを事前に決めておく

同じセンサ、同じデータでも、プラットフォームの設計次第で「使える仕組み」にも「誰も見ないダッシュボード」にもなります。

「データ取ってます」で終わっている現場、実は多いです。
これは故障記録の「記録してるだけ」問題と全く同じ構造です。

具体的には、導入時に最低限この3点を決めておくと機能しやすいです。

  1. 閾値の設定
    →「振動値が基準の何倍になったら通知を出すか」を決める。ISO基準やメーカー推奨値をベースにして、自社設備の実績で調整する
  2. 閲覧ルール
    →「誰が、いつ、どの画面を見るか」を決める。週次で担当者がトレンドを確認し、月次でリーダーがレポートをレビュー、等
  3. アクションフロー
    → 「閾値を超えたら誰に連絡して、何日以内に点検するか」を決める。通知が来ても動かなければ、通知がないのと同じ

ここまで設計して初めて「仕組み」になります。

センサだけ付けて「DXやってます」は、Excelで故障記録を付けて「データ管理してます」と言ってるのと同じです。

使えなきゃ意味ないです。

導入はゴールではなくスタートです。

「センサ付けました、以上」で止まると、半年後には誰もデータを見なくなります。

そして1年後に「DX効果なかったね」と言われて予算が消えます😨

次に読む記事 📝

故障記録を「記録しているだけ」で終わらせない整理の考え方はこちらです。
Excelの故障記録を”分析できる形”に変える

振動計では見えない「熱による劣化」のサインと対策はこちらです。
盤内の熱で壊れやすい部品と、壊れる前に出るサイン

最後に 👷‍♂️

予兆診断は万能じゃないです。

振動に出ない故障モードは見えないし、プラットフォームがなければデータは宝の持ち腐れです。

でも「見える」が増えることは確実に武器になります。

半信半疑だったワイが手のひらドリルしたくらいには、効果があります。

ただしセンサを付けるだけでは不十分です。

プラットフォームの整備が勝負。

導入はゴールではなくスタートです。

「DXやるぞ」と意気込んでセンサだけ付けて満足する。

それ、ジムに入会して満足するのと同じです。

通わないと意味ないです。

ご安全に 👷‍♂️⚡

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