ご安全に!まんぬです👷♂️⚡
今回は盤内部品の熱故障についてです。
突然ですが、弊職場で去年の夏、とある電気室のエアコンが全部壊れましたwww
「全部」です。1台じゃないです。全部です😇
数日間、電気室がサウナと化しまして、そのあとインバータが次々と壊れていきました。
ライン止まる、インバータ替える、また止まる、また替える。
インバータ1台の交換費用が10万〜30万円。それがラインごとに連鎖していく恐怖、想像できますか。
「なんで連鎖すんのwww」って笑えなかったです。いや、笑うしかなかったです。
盤内の温度って地味なんですよね。
回路図に載ってるわけでもないし、アラームも出ない。
でも確実に部品を殺します。静かに、じわじわと。
この記事では、盤内で熱に弱い部品、壊れる前に出るサイン、そして「盤クーラーあるから大丈夫」「電気室にエアコンあるから大丈夫」が通用しなかったケースを整理します。
「うちもエアコン古いな……」と思った方、最後まで読んでおいて損はないです。
盤内温度が壊すもの ── 熱に弱い部品 🔥
盤の中の部品、全部が同じように熱に強いわけではないです。
「ワイは暑さに弱いんです……」って顔してる部品がいくつかあります。
電解コンデンサ 💀
電解コンデンサは、盤内で一番熱に弱い部品です。
※電解コンデンサ:電源回路やインバータ内部に使われるコンデンサ。熱に弱く、寿命が温度に大きく左右される
温度が上がると内部の電解液が蒸発して容量が低下します。
最終的にはパンクします。頭が膨らんでいたらもうアウトです。
電解コンデンサ、暑さで膨らんで「もう限界です……」って訴えてるんですよねあれ。
見た目で分かる分、まだ良心的な壊れ方ではあります。
電源ユニット(DC24V等)🔌
電源ユニットの内部にも電解コンデンサが使われています。
つまり電源ユニットも熱で寿命が縮みます。
DC24Vの電源が弱ると、盤内のセンサ、PLC、リレー、全部に影響が出ます。
24V電源、体力落ちたら全員道連れです😨
電源ユニット1台の交換自体は数万円ですが、それが原因でラインが止まると1時間あたり数十万〜数百万円の損失になります。
部品代の問題じゃないんです。止まることの問題なんです。
インバータ ⚙️
インバータ(モーターの回転速度を制御する装置)は、内部の半導体と電解コンデンサの両方が熱に弱いです。
盤内温度が上がると、保護機能で出力制限がかかるか、最悪そのまま故障します。
「暑いから今日はサボります」ってインバータが勝手に判断してラインが落ちるわけです。困る。
PLC
電源ユニット、CPU、IOユニット、通信ユニット、、、と挙げたらきりがありませんが、熱い現場でわけわかんないエラー吐いてたら熱故障を疑ってもいいかもしれません。
アレニウスの法則 📐
アレニウスの法則というものがあります。
こすい商売note記事でも紹介していますが、温度が10℃上がると部品の寿命が約半分になるという経験則。電子部品の寿命設計で使われるものです。
つまり盤内温度が40℃の場合と50℃の場合では、部品の寿命が倍違います。
10℃の差で寿命が倍。「たかが10℃」じゃないんです。
設計寿命10年のコンデンサが、盤内温度が10℃高いだけで5年に縮む。
盤内温度、地味に見えて破壊力エグいです。
壊れる前に出るサイン 🔍
壊れてから「あー、やっぱり……」って言っても遅いです。
壊れる前にサインが出ているので、点検で拾いましょう。
「壊れる前に出るサイン」を知っている保全マンと知らない保全マン、突発故障の回数が全然違います。
以下、ワイが実際に経験したサインです。
電解コンデンサの膨らみ 👀
目視で確認できます。
コンデンサの頭が膨らんでいたり、液漏れの跡があれば交換時期です。
コンデンサのてっぺんに「+」の切り込みがあるんですが、そこがぷっくり膨らんでたら「助けて」のサインです。
見つけたら即交換。
計画停止で交換すれば数千円、突発で壊れればライン停止で数十万円。差は歴然です。
電源出力の低下 📉
DC24V電源の出力をテスターで測定してみてください。
頭の電圧にもよりますが、頭に定格かかってて出力が22V台に下がっていたら、大きく劣化が進んでいます。
24Vが23.5Vになってても設備は動きます。でも「まだ動いてる」と「健康」は違います。
数値で測って、数値と傾向で判断する。これが点検です。
ファンの異音・回転低下・停止 🌀
盤内ファンや盤クーラー(制御盤の内部温度を下げるための冷却装置)のファンが止まっていたら、換気が死んでいます。
異音がしていたらベアリングの劣化、回転が遅くなっていたらモーターの劣化です。
ファンが止まった盤は、サウナに閉じ込められた電子部品の集まりです。そりゃ壊れます。
盤内の異臭 👃
電解コンデンサが劣化すると、独特の臭いが出ることがあります。
焦げたような、酸っぱいような、「あ、これヤバいやつだ」と鼻で分かる臭いです。
盤を開けて異臭がしたら、それは部品からのSOSです。
盤を開けたときの熱気 🥵
盤の扉を開けた瞬間に「ぶわっ」と熱気が来たら、換気が追いついていません。
これは計測器がなくても体感で分かるサインです。
「なんか熱いな」は気のせいじゃないです。盤が助けを求めています。
目視、テスター、鼻、手の甲。
特別な機器は要りません。五感で拾えるサインがこれだけあります。
「盤クーラーあるから大丈夫」が通用しないケース 😇
盤クーラーがあるから盤内温度は大丈夫。
……って思うじゃないですか。ワイもそう思ってました。
炉の近くに設置された制御盤の話です。
盤内にはアズビル製のバーナーコントローラー(燃焼炉のバーナーの点火・消火・火炎監視を制御する機器)が入っていました。
盤クーラーもちゃんと設置されていて、盤全体の温度としては許容範囲内のはずでした。
盤クーラーあるし大丈夫でしょ。の認識です。
しかし壊れたんですよねこれが。。。
原因を調べたら、バーナーコントローラーの直上に配線ダクトがあって、排熱空間がほぼゼロでした。
機器が発する熱の逃げ道がなく、局所的に高温になっていたんです。
盤クーラーは盤全体の空気を冷やしてくれますが、機器の直上にこもった熱までは面倒を見てくれません。
盤クーラー「ワイは盤全体を冷やす係であって、局所の排熱係じゃないんですけど?」って感じです。
結果、炉が点火できない・失火が頻発してライン停止。
バーナーコントローラーの交換部品代だけで10万円以上、さらにラインが止まっている間の損失が乗ってきます。
「盤クーラーあるから大丈夫」のひと言がこのコストに化けるわけです。
対策として、社内の設計基準書に「機器上部に排熱用の空間を確保すること」の具体的記載を追加しました。
盤クーラーがあっても、熱の逃げ道がなければ意味がない。
この教訓はワイの中にしっかり刻まれています。
電気室の空調が死ぬとどうなるか 🥶→🔥
冒頭で書いた話です。
電気室のエアコンが全部壊れましたwww
全部ですよ全部。冗長化? そんなものはなかった。
数か月間、電気室がただの暑い部屋になりました😇
まあ何とか乗り切るっしょと思いたかったんですが、そうはいきませんでした。
エアコンが復旧したあと、インバータ盤内のインバータがどんどん壊れるようになったんです。
1台壊れる。交換する。また別のが壊れる。また交換する。
ライン停止が頻発。「またインバータ???」が口癖になりました😨
ポイントは、エアコンが壊れていた「数日間」だけが問題ではないということです。
高温に晒された部品は、その場では動いていても内部の劣化が加速しています。
さっきのアレニウスの法則を思い出してください。
10℃上がれば寿命は半分。電気室が50℃を超えた状態が数日続いたら、部品が受けるダメージは計り知れません。
「エアコン直ったから大丈夫」ではないんです。
高温に晒された時点で、部品の寿命はすでに縮んでいます。
エアコンは直っても、部品に刻まれたダメージは消えません。
インバータが1台壊れるたびに交換費用と停止損失が発生します。
それが何台も連鎖したときのトータルコスト、エアコンの修理代なんて比じゃないです。
エアコンの修理に50万使うか、インバータ5台壊して300万失うかの話です。
電気室の空調は設備ではなくインフラです。
空調が死ぬと、中の制御盤も、インバータも、電源も、全部道連れになります。
空調の予備機・冗長化、もしくは空調停止時のアラート(温度監視)を入れておくこと。
「エアコンなんて壊れないでしょ」は、ワイの経験上、通用しないです。
上に予算を通すときは空調の修理費ではなく、空調が止まったときの損失額で話してください。
空調は快適のためじゃなく設備を守るためのインフラです。この言い方なら通ります。
次に読む記事 📝
今回の記事で電源ユニットの熱劣化が気になった方へ。24V電源が落ちる原因を3パターンに整理した記事です。
24Vが落ちる:一番多い3パターン
保護機器の「容量」と「設定値」の違いを整理した記事です。サーマルリレーやブレーカーの選定で迷ったことがある方はこちら。
サーマルリレーとブレーカーの違い:「容量」と「設定値」を混同すると事故になる
最後に 👷♂️
熱は目に見えません。
見えないから後回しにされます。
でも壊れてからのコストは見えます。
ライン停止、部品交換、突発対応の工数。全部見えます。全部痛いです。
盤を開けたときの温度、ファンの音、コンデンサの見た目。
点検で拾えるサインはあります。
「まだ大丈夫」を「本当に大丈夫か?」に変えるのが、保全の仕事です。
ご安全に 👷♂️⚡


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