接地は規格より”現場の事故”で覚える

⚡電気トラブル⚡

接地(アース)の話、規格から入ると秒で眠くなります。

A種は10Ω以下、D種は100Ω以下……。

アーアーキコエナイー

で、数字を覚えたところで現場で事故が防げるかと言われると、そうでもないです。

いつも使ってるコンセントだから大丈夫と思っていたら、実はアース線が物理的に浮いていて感電した。

ワイの現場です。

この記事では、ワイが現場で遭遇した「接地線が未接続で感電した」事例と「未接地でノイズが乗った」事例をベースに、接地の目的と確認手順を整理します。

規格の暗記じゃなく、事故の記憶で覚えたほうが忘れません 🧠

接地の目的は2つだけ

まず結論です。 接地の目的は2つしかありません。

① 人を守る(感電防止)
② 機器を守る(ノイズ・誤動作防止)

これだけです。 A種だのD種だのは、この2つの目的を「どのレベルで確保するか」の分類でしかありません。

種別の話は後で出てきますが、先に「なぜつなぐのか」を体に刻みましょう。

以下、ワイの体に刻まれた2件の事例です 😇

測定値は正常なのに感電した話

ある日、3相AC200Vの動力装置で作業員が「触っているとプルプル電気を感じる」と報告してきました。

感電です。 軽度とはいえ、感電は感電です。作業員が鈍いんじゃないです。

即座に調査を開始しました。 まず絶縁抵抗を測定。相間、対地ともに問題なし。
漏電遮断器も落ちてなく、漏電もしていない状況。(テストボタンの反応はOK)

測定値、全部OKです。

ちょwww全部正常なのに感電してるんですがwwwwww

と思っていた矢先、200Vコンセントのアース端子と大地間の電圧を図ってみたらなんと100Vありました。

もしやと思いコンセントのアース線を追っていくと、一次側のブレーカーボックスのアース端子にたどり着くはず……が、つながっていませんでした。

なんとアース線がテーピングされて浮いていたんです。

テーピングされた接地線を見つけたとき、正直マジかと思いました 😇

アース線が動力線と重なってつぶれているわけでもない。

つまり「宙に浮いている」アース線に電圧が乗っている状態。

ピンとくる方もいらっしゃるかもしれませんが、静電誘導です。

電験の勉強とかでは通常架空電線とかが例に出てくるのであまりなじみがないかもしれませんが、地べたにはいつくばってるコンセントケーブルにも普通に乗ります。

「誘導電圧だから危なくねえじゃん」と思ったあなた、危ないです。

通常、誘導電圧が危なくないのは、見かけ上の電路が高インピーダンスであるがゆえに流れる電流が低く、一瞬であるためです。

ここでは割愛しますが、実際検算したところ、たしかに200V程度であれば危険ではありません。

ただしこれが400V場合電流値が際どくなってきます。

また、誘導電圧による感電は地絡と原理が全く異なるので、ELBでは防げません。

ELBは地絡電流の不平衡を検出して動作します。 しかし誘導電圧はそもそも絶縁不良ではないので、ELBの検出対象ではありません。

つまり、この感電は接地でしか防げなかった。 「ELBがあるから大丈夫」ではないんです。

もしこれが「ピリッと来る」レベルではなく、条件が重なって人が動けなくなるレベルだったら。

労災として扱われ、ライン停止・原因調査・安全対策の報告書・再発防止策の提出と、現場は長期間止まります。

接地線1本の浮きが、数百万円規模の損失になる可能性があったわけです 😨

じゃあなぜアースが未接続だったのか? これは過去の闇に葬られています。

推測としては、別の機器で漏電遮断器がトリップするのを嫌って、誰かがアースを抜いた可能性があります。

建屋は築60年超。何十年分の「その場しのぎ」が堆積しています。

誰!?!?!?誰が外したの???Why!!!??????

……聞いても答えは返ってきません。 築60年の建屋は、黙秘権を行使しました 🏚️

接地しなかったらノイズが乗った話

もう1件、接地の目的②「機器を守る」側の事例です。

ハンディタイプの検査機を自動測定機に組み込んだことがあります。 このとき、検査機の接地を取っていませんでした。

結果、サーボモータのスイッチングノイズが検査機の測定値にそのまま乗りました。

測定値がフラフラ揺れて、合否判定がまともにできない状態です。

検査機の気持ちを代弁すると「すみません、隣のサーボがうるさくて仕事に集中できません」です。

まあワイも隣の席で声のデカいクソジジイに電話されると集中できないので、気持ちは分かります 📞

検査機の筐体をきちんと接地したら、ノイズは収まり、測定値が安定しました。

接地は感電防止だけでなく、ノイズの帰還経路を安定させるためにも必要です。

接地がなければ、ノイズは行き場を失い、信号線を通じて測定系に流入します。

前の節の事例が「人を守る」接地、この事例が「機器を守る」接地。 接地の目的2つが、どちらも実害として出た経験をワイは持っています 😤

接地の種別:現場で使い分ける最低限

目的が分かったところで、種別の話をします。 ここでは現場で登場頻度が高い3つだけ扱います。

A種接地(第1種接地)
・接地抵抗値:10Ω以下
・対象:高圧機器(600Vを超える機器の外箱・鉄台など)
・目的:高圧の地絡事故時に、人体に危険な電圧がかからないようにする
・現場での確認ポイント:受変電設備のキュービクル周りで使われていることが多い。保全担当が直接施工することは少ないが、接地抵抗測定の対象になる

C種接地(特別第3種接地)
・接地抵抗値:10Ω以下(ただし、低圧電路において0.5秒以内に自動遮断する装置がある場合は500Ω以下でよい)
・対象:300Vを超える低圧機器の外箱・鉄台など
・目的:300V超の低圧機器での感電防止
・現場での確認ポイント:3相AC400V系の動力機器が該当する。200V系しかない工場では見かけないこともある

D種接地(第3種接地)
・接地抵抗値:100Ω以下(ただし、低圧電路において0.5秒以内に自動遮断する装置がある場合は500Ω以下でよい)
・対象:300V以下の低圧機器の外箱・鉄台など
・目的:300V以下の低圧機器での感電防止
・現場での確認ポイント:工場の保全で最も頻繁に出会う種別。3相AC200Vの動力盤、制御盤のほとんどがこのD種接地

C種とD種の境界は「300V」です。

3相AC200V → D種(300V以下) 3相AC400V → C種(300V超)

ここだけ覚えておけば、現場で迷いません。

ちなみに種別を全部暗記しても、現場でテーピングされたアース線を見つけられるわけではありません。 暗記は試験対策。現場では「つながっているかどうか」が先です 🔌

B種接地(変圧器の中性点接地)はちょっと今回伝えたいテーマと異なるのでまあ機会があれば。。。

以上、種別を丸暗記するよりも、「自分が日常的に触る設備が、どの種別で接地されていて、それが何を守っているのか」を把握するほうが100倍重要、というお話でした。

接地不良を疑うときの確認手順

最後に、接地不良を疑うときの確認手順を整理します。

さっきの感電事例がまさにそうでしたが、絶縁抵抗が正常でも安心できません。

測定値だけでは見つからない不良があります。

手順1:端子の物理接続を目視で確認する アース線が端子に確実に接続されているか、目で見て確認します。 浮き・テーピング放置・腐食・緩みがないか。 ワイのケースでは、まさにこの「テーピングされて浮いていた」が原因でした。

手順2:接地線の経路を追う アース線が途中で切れていないか、端子台で接続が浮いていないかを追います。 特に古い建屋では、増設や改修を繰り返すうちに接地線が途中で宙ぶらりんになっていることがあります。

手順3:接地抵抗を測定する 物理接続を確認してから、接地抵抗計で測定します。 順番が大事です。接続自体が切れていたら、測定しても意味がないからです。

「相間、対地OK → だから大丈夫」ではない。

物理接続OK → 経路OK → 測定値OK → ここまで揃ってやっと大丈夫」です。

測定器を取り出す前に、まず端子を目で見る。 これ全部やんの??? と思うかもしれませんが、やらないと見つからない不良が実際にあったんです 👀

あのテーピングされたアース線を見た日以来、ワイは接地を確認するとき必ず端子を目視してから測定器を取り出すようにしています。

測定器は万能じゃありません。目で見ないと分からない不良があります。

絶縁抵抗OK、対地抵抗OK。でもアースが浮いてたら感電する。

この1行だけ、忘れないでください。

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