設備が止まる前に出る”いつもと違う”の拾い方と対策の型

📓保全ノウハウ📓

ご安全に!まんぬです👷‍♂️⚡

前回の記事の最後に、

「次は、設備が止まる前に出やすい『いつもと違う』を、先手の対策につなげる話をする」

と書きました。今回はその回です。

今回は、「いつもと違う」をどのように分析して、

どのような対策まで持っていくか。

そのプロセスを、実務で回る形にまで具体化します。

本題に入る前に:保全の強さとは

「保全が強い」とは、天才がいることではなく、

  1. 違和感を拾う
  2. その違和感が、いつ・どんなときに出るのかを切り分ける
  3. 止まる前に打てる対策を立案し、実行する

この一連のプロセスが確立され、

かつサイクルとして高速で回っている状態です。

①~③を順に追っていきましょう。

①まずは5分類:違和感を拾い分類する

現場によって拾える違和感は変わりますが、

整理の仕方としては、たとえば次のように分けておくと後の話が早くなります。

  • 音(擦れ音、打音、周期音など)
  • 振動(増えた、偏った、ある回転域だけ出る、など)
  • 温度(局所的に熱い、上がり方が変わった、など)
  • 動き/品質(動作が鈍い、ばらつきが増えた、余裕がなくなった、など)
  • 電気/信号(制御電源の電圧低下、誤動作、入力値の不自然な変化、通信異常など)

流体系(圧力・流量・差圧)や潤滑(油・摩耗粉)、外観(漏れ・変色)が主役の設備は、ここに別枠を足した方が運用しやすいです。

②違和感を分析する

この段階でやることはシンプルで、見るか、測るか、ログを見るか。

まずはここで現象の解像度を上げます。

分析でやること:

  • 見て、聞いて確かめる:異音、摩耗、緩み、擦れ跡、変色、焦げ、粉じん堆積、漏れ痕など、目・耳で分かる事実を拾う
  • 測って確かめる:温度、振動、電圧、記録値の変動など、傾向が出る形で取る
  • 見える化があるなら裏取り:トレンドとログで「いつから」「どの運転フェーズで」「何と同時に」を確認する

いずれの確認方法においても、ここでの目的は

違和感がどういう状況で起きているかを把握することです。

条件を押さえるときは、まず3点だけ固定

  • いつから起きているか(今日だけ/先週から/じわじわ増えてる など)
  • どんな運転のときに出るか(立上げ、定常、停止直前、品種切替、速度変更、外乱が大きい日 など)
  • 出るとき/出ないときの差は何か(条件の境目)

ここまでで十分強いです。

ただしもう一歩踏み込むなら、

「どんな運転のとき」を次の2軸で切るとブレません。

  • 運転フェーズ:立上げ、定常状態、停止、切替
  • 何の直後に出るか:操作、切替、特定の動作、特定イベント

これが揃うと、現場の言葉が「確認できる情報」に変わります。

確認できる情報になると、確認の手が決まります。

ヒアリングで聞く質問は固定する(増やすとブレる)

ここで効くのは、違和感を聞いた人に聞く質問を固定することです。

  • 「いつから?頻度は?」(毎回か、たまにか、増えてるか)
  • 「どんな運転のとき?」(立上げ/定常/停止/切替のどれか)
  • 「前はどうだった?何が変わった?」(比較の言語化)

これで、違和感が“感想”から“確認できる情報”に変わります。

値が取れるなら数値が強いですが

取れなくても条件と比較が揃うだけで十分戦えます。

記録の最低限テンプレ

  • 日時
  • 設備/ユニット/位置
  • 分類(音/振動/温度/動き・品質/電気・信号)
  • 条件(どんな運転のとき/何の直後)
  • 比較(前はどうだったか)
  • 頻度(毎回/断続/増えている など)

ここまで整うと、違和感は「漠然とした不安材料」から「次の一手に向けた貴重な情報」に変わります。

見える化している職場は、ここでさらに強くなれる

今時、監視・トレンド・ログで見える化している現場も少なくありません。

見える化は“答え”ではありませんが、分析の精度を一段上げます。

見るべきは派手なグラフではなく、次の3点です。

  • いつから変わったか(変化点)
  • どの運転フェーズで変わるか(立上げ/定常/停止/切替)
  • 何と同時に起きるか(操作、切替イベント、アラーム、負荷の動作など)

現場の違和感(人間の感覚)と、トレンド(データ)を、共通言語で揃える。

これが見える化の正しい使い方です。

③対策を立案する

分析ができたら対策を打つ。まあ当たり前の話です。

ただ、ここで一気に凡ミスが増えます。理由は簡単で、「打てる対策が多すぎる」からです😇

この章で整理したいのは、対策の方向性です。

大きく分けると、やることは2つしかありません。

・故障しにくくする(故障発生確率を下げる)
・故障しても致命傷にしない(ダウンタイムや損失を下げる)

言い換えると、予防保全を厚くするか、事後保全の備えを厚くするか、です。

端的にまとめるとこうです。

予防保全:故障する前に手を打ち、故障発生確率を低減する(=起こさない)

事後保全:故障は起こり得る前提で、停止時間・影響・復旧工数を低減する(=燃え広がらせない)🧯

予防保全は、日常点検のような軽いものから、状態監視(温度・電流・振動・ログの傾向監視)で“兆候の段階”で捕まえるものまで幅があります。

「放っておけば近い未来に起きそうな故障」を、起きる前に潰すのが狙いです。

一方で事後保全は、故障が起きた後に復旧できる体制を整える考え方です。

予備品を持つ、交換手順を標準化する、代替運転の手順を作る、外注先と夜間対応の取り決めをする——全部ここに入ります。

そして最悪なのは、「備えなしで放置して、案の定壊れて、突発で地獄を見る」パターンです🔥

同じ事後保全でも、“準備している事後保全”と“無策の事後保全”は別物です。

「じゃあ両方やればいいじゃん」と思うかもしれません。
でも現実は、予算・人員・時間が有限です。
まだ壊れてもいないものに、無数の対策を打つことはできません。

だから必要なのは、優先順位です。

ここで重要なのは、その違和感を持った設備・装置がどれだけ重要か、そして「その違和感がどれだけ危ない兆候か」です。

極端な例を挙げると、
「蛍光灯がチカチカして玉切れしそう」レベルの違和感に対して、状態監視システム導入を提案したら、翌日から草むしり行きです🌱

対策は“重要度のレベル”に合わせて決める。

この「優先順位をどう決めるか」については、前回の記事で整理しています。
👉 https://mannu-hozen.com/koushinteian/



そしてもう一段踏み込むなら、判断軸はこの2つです。

・対策コスト(工数・停止枠・部材・外注費など、対策に必要なコスト)
・故障損失(止まった場合の損失、復旧工数、品質・安全影響)

この2つのバランスで、「予防を厚くするのか」「備えを厚くするのか」を決めます⚙️

この予防保全・事後保全は本当に奥が深くて、テーマとしてブログ記事が何個も書けるレベルです。

このブログでも近いうちに触れてみようと思います。

スタッフ/GLがハマる落とし穴:管理職への橋渡しが出来ない(翻訳がしんどい)

総合職の保全スタッフでしんどいことの一つに、
いわゆるゴリゴリの「たたき上げ」である技能職スタッフと、
こちらもやはりゴリゴリのインテリ上層部の間に立ち、
起きている異常を「伝わる形」に変換し続ける役回りがあります。

ここは誤解が出やすいので言い切ります。

もちろん職場と人にもよりますが、技能職の説明は現場では筋が通っている場合が多いです。むしろ正確です。

そして、その正確さは「現場の前提が共有されている」ことの上に成り立っています。

会議室側にその前提が無いと、専門用語やニッチな部品名・道具名が増えた瞬間に、
上層部が欲しい「何が起きていて、どれくらいまずくて、次に何をするのか」が見えなくなります。

この伝言ゲームを、正確さを落とさずにかつ理解しやすい形で繋ぐのがまあ難しい。

だから総合職は技能職・上層部の両者とも距離が近いことが必要であり、またそのような人材が求められます。

新卒の就活で「私は潤滑油のような存在ですぅ!!」なんて言う人が多いのも納得ですね。

そこら中ぬるぬるです。

電気・信号の違和感は、曖昧語を捨てて観察事実で残す

電気系は特に、曖昧語だと後で追えなくなります。

例えば「電源が不安定」「ノイズっぽい」ではなく、何が起きたかで書きます。

  • 制御系:制御電源の電圧が特定のタイミングで低下している/一瞬途切れたような事象がある/誤動作やリセットが発生する、など
  • 駆動系:定常運転の状態が以前より重い(値が取れるなら電流、トルクモニタ等の変化)/起動直後の落ち着きが悪い/相間に偏りがある、など
  • 信号系:入力値が不自然に跳ねる/短時間でON/OFFが連続する/通信エラーが増える、など

ここも原因当ては後回しでいいです。
まずは「現象+条件+起きた事象」が揃うと、③の“最初の一手”が決まります。

次は、この「違和感の情報」を、点検・測定・手配の段取りに落とす話をします。
止まってから慌てないために、止まる前に何を決めておくか。保全の手を前に出すための整理です。

📌 違和感を「優先順位」に変えるツール

この記事で書いた「違和感→分析→対策」のサイクルを、 設備ごとの優先順位づけまで繋げるExcelテンプレートをnoteで公開しています。

「対策を打つべき順番」を金額ベースで比較したい方は、こちらも参考にしてみてください。

👉 https://note.com/mannu_bot/n/n2f55a5d3a60c

最後に

早期察知は、センサやデータ以前に「違和感を拾って、次の一手に変える仕組み」で決まります。

違和感を拾う → 推定発生原因を分析する → 一手を打つ → 結果がどう変わったか を残す。

このサイクルが回っている現場が、結局一番強い。

このブログでは、そのための型を現場目線で積み上げていきます。

ご安全に 👷‍♂️⚡

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