「触れたらピリッと来た」を放置してはいけない理由:誘導電圧と接地不良の切り分け

⚡電気トラブル⚡

ご安全に!まんぬです👷‍♂️⚡

以前、三相200Vの動力設備に触れた作業員から「なんか少しピリピリするんですけど…」と報告がありました。

テスター当てても電圧がないように思えたのですが、低インピーダンスモードにするとがっつり100Vかかっていました。

誘導電圧です。

原因は、コンセントのアース線がブレーカーボックスのアース端子に接続されておらずテーピングされて浮いていたことです。

アースが繋がっていないので、誘導電圧の逃げ場がない。
逃げ場がないから、人が触れたときに人体を通って流れた。

今回は「ピリッとした」で済みましたが、雨の日や、夏の汗かくときは掌が。。。


・・・

条件が重なれば、ピリッとじゃ済まないです😨

この記事では、ピリッと来てしまうのはどういう状況かを整理します。

なぜ、触れてないはずの場所に電圧が出るのか 🔍

設備の筐体は、正常な状態なら大地と同じ電位です。

つまり、触っても電圧はゼロ。

それなのに電圧が出ているということは、何かがおかしい。

原因は大きく2つに分かれます。

1つ目は誘導電圧です。

動力ケーブルには大きな電流が流れていて、その電磁的な影響で近くの金属部分に電圧が発生します。

接地が正常なら、この電圧(正確に言うと電子ですが)は大地に逃げます。

でも接地が浮いていると逃げ場がなくなり、そこに人が触れると、人体を通って大地に流れます。


2つ目は漏電です。

絶縁が劣化して、充電部から筐体に電流が流れ出している状態です。

こちらは漏電遮断器が正常に設置・動作していれば検知して切ります。

漏電遮断器が設置されていない、または故障している場合に感電に至ります。

今回のケースは1つ目、つまりアースが浮いていて、誘導電圧の逃げ場がなかった状態です。

今回の原因:アース線が接続されていなかった ⚠️

調べてみると、動力コンセントのアース線が、ブレーカーボックスのアース端子に繋がれていませんでした。

アース線の先端はテーピングされていて、明らかに意図的に外された状態。

テーピングされた接地線を見つけたときは、正直ゾッとしました😇

これ、何年この状態だったんだろうと。

なぜアースが外されていたのか。

その時推定した原因は以下2通りでした。

1つ目は、過去に漏電遮断器が動作してしまう機器をこのコンセントに繋いだことがあり、使えるようにするためにアースを外した可能性。

アースを繋ぐとELBがトリップする → じゃあアース外せば使える → そのまま放置、という流れです。

2つ目は、過去の改修や配線変更の際に、アース線を戻し忘れた可能性。

最終的に「誰がいつ外したか」は特定できませんでした。

古い設備や建物では、こういう経緯不明の状態が珍しくありません。

原因が完全に特定できなくても、見つけた時点で直すことが最優先です🔧

「ピリッとした」が報告されにくい理由 😶

今回は作業員が報告してくれたおかげで発覚しました。

でも現実には「ちょっとビリッとしたけど、まあなんともないし誘導だろう。。。」で流されるケースの方が多いです。

理由はシンプルで、みんな誘導電圧に慣れてしまっているからです。

もちろん、高圧になればなるほど警戒する人は多いですが、100~200V程度では軽視してしまう人が多いのも事実。

この程度では、火花が出たり煙が出たりしないので、目に見える異常として認識されにくい。

だからこそ、ピリッとしたら必ず報告するように日頃から言っておく必要があります。

報告しやすい空気を作っておくのも、保全の仕事の一部です。

現場で確認すること 🔧

誘導が疑わしいときは、以下の順番で確認してください。

まず、テスターで筐体の対地電圧を測ります。
※この時低インピーダンスモードにすることを忘れないこと。もしくはアナログのテスターで測る。

筐体とアース端子の間にテスターを当てて、電圧が出ているかどうか。

ここで電圧が出ていれば、何かが起きています。

次に、その設備の接地線の接続状態を目視で確認します。

端子の緩み、断線、腐食、そして今回のような未接続がないか。

接地抵抗計で接地抵抗を測ります。

接地線が繋がっていても、接地抵抗が異常に高ければ、電圧は逃げ切れません。

最後に、メガー(絶縁抵抗計)で絶縁抵抗を測ります。

これは漏電の可能性を切り分けるためです。

ポイントとしては、

・アース線を正規に接続して電圧が消えた場合
→ 誘導電圧

・アース線を接続しても電圧が残る、または漏電遮断器がトリップした場合
→ 漏電の可能性がある。絶縁劣化の調査が必要です。

この分岐を最初に押さえておくと、後の対応が全然違います。

「ヒヤリ」で済んだうちに打つ手 💪

今回、実際にやった対策は2つです。

まず、アース線をブレーカーボックスのアース端子に正規に接続し直しました。
これで誘導電圧は大地に逃げるようになり、筐体の電圧はゼロに戻りました。

次に、工場内の他の古い200Vコンセントも全数点検しました。
同じようにアースが浮いている箇所がないか、横展開です。

1箇所見つけたら、他にもあると思った方がいいです。

古い建屋ほど、同じような状態のコンセントが見つかる確率は高い。

当該コンセントだけ直して終わりにしたら、次は別の場所で同じヒヤリが起きます。

1箇所見つけたら横展開。これが鉄則です🔧・・・といいたいところですが、大きい工場だとやってられないですよね。。。

なので現場の協力が不可避です。今はアースチェック機能付きの電光ドラムなんかも売ってるみたいなので、活用するのも手かもしれません。

ちなみに、感電事故が労災として認定されると、行政の調査・改善指導が入ります。

ライン停止の損失、復旧工事、対策費用、さらに行政対応の工数。

「ピリッとした」を放置して重大事故に発展した場合のコストは、アース線1本を直すコストとは比較になりません。

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このブログでは、工場の電気保全の実務に使えるノウハウを発信しています🔧

最後に 👷‍♂️

感電は「ピリッとした」で終わる場合もあります。

でも、条件が変われば重大事故になる。
湿った手、汗で濡れた作業着、心臓に近い経路。
どれか1つ重なるだけで、結果はまったく変わります。

ヒヤリの段階で気づけたのは運が良かっただけです。
運に頼らず、見つけた時点で手を打つ。
そして1箇所見つけたら横展開する。

それが保全の仕事です。

ご安全に 👷‍♂️⚡

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