ご安全に!まんぬです👷♂️⚡
TBMをやめて、CBMに切り替えたい。
交換周期も伸ばしたい。部品代も工数も減る。最高じゃないですか。
でも「最近壊れてないし、大丈夫でしょ」で切り替えると壊れます。 壊れたあとに「誰がCBMに切り替えたの???」って犯人探しが始まります😇
ちなポンコツワイは何度か犯人経験ありです🦹♂️
定期交換をやめるには「やめていい条件」があります。
この条件を満たしているかどうかで判断する。それだけの話です。
TBMとCBMの違い
定義はとても簡単でシンプルです。サッと確認します。
TBM=時間で交換する。
壊れる前に替える。安全側だけど、まだ使える部品も交換することになります。
CBM=状態を見て交換する。
劣化の兆候が出たら替える。無駄は減るけど、監視の仕組みが要ります。
どっちが偉いとかではないです。 故障モードによって使い分ける。これだけ。
定義ここで終わり。次行きます🏃
実例1:振動計でベアリングの定期交換をやめた話
ワイの現場で、無線振動計を導入した話は無線振動計を導入して分かったことで書きました。
あの振動計、CBMへの切り替えにめちゃくちゃ効きました。
具体的にはベアリングの定期交換です。
これまでは「2年に1回交換」というTBMで運用していました。 壊れてなくても2年で替える。安全側だけど、まだ使えるベアリングも交換していたわけです。
振動のトレンドが見えるようになったことで、ベアリングの劣化傾向が見えるようになりました。
加速度実効値が一定のラインを超えたあたりから、明確に上昇トレンドに入る。
弊現場では、そこから故障に至るまでに数ヶ月の猶予があることがデータの蓄積で分かってきました。
これで「2年に1回の定期交換」から「データが悪化したら計画交換」に切り替えられたのです。
実際に振動値の上昇を検知して、計画停止日に合わせてベアリングを交換。ライン停止ゼロ。
まだ使えるベアリングを捨てることもなくなりました。
うはwwwCBM最高かよwwwwww
……ただし、これが成立したのはCBM化出来る方にはまっていたからです。
なんでもかんでもCBMにできるわけではありません。
これ読まれてる方もご存じの方が多い通り、振動計はCBMの手法として広く知られているのでむしろ失敗する確率の方が低いです。
■CBMが成立した条件(振動計の場合)
① 故障モードが振動に出る(ベアリング摩耗・軸ブレ等は、振動値の変化として検出できる)
② トレンドが取れる(徐々に悪化する。一瞬で壊れない故障モード)
③ 前兆から故障までに計画停止を組む猶予がある(数ヶ月の余裕があった)
この3つが揃ったからCBMに切り替えられました。 1つでも欠けたら、定期交換をやめてはいけません。
実例2:コントロールバルブの開度、応答
ワイの現場でもう1つ、CBM的にやっている事例があります。
コントロールバルブの状態監視です。
何を見ているかというと、PLCからの出力指令に対するバルブの実際の開度のズレ、それから応答速度です。
(1)まず、指令と実開度の乖離について。
正常なバルブなら、指令50%に対して実開度もほぼ50%になります。
このズレ量を閾値で監視しています。
指令と実開度のズレが大きくなってきたら何が起きているか。
シート摩耗、パッキン劣化、アクチュエータの動作不良。。。要するに「バルブが指令通りに動けなくなってきている」というサインです。
バルブ「すみません、指令通りに動けません……」
アクチュエータ「ワシももう限界じゃ……」
こういうセリフが聞こえてきたら末期です😨
たとえば、正常時のズレが±2%以内だったのが、±5%を超えてきた。 この時点で「次の計画停止で点検対象に入れる」という判断ができます。 壊れるのを待たなくていい。
振動計でベアリングを見るのとは、アプローチが違います。
✅振動計は機械的な劣化を物理量(加速度・速度)で捉える。
✅バルブは制御的な劣化を指令と応答のズレで捉える。
見ているものが違うだけで、「前兆をデータで捉えて計画交換につなげる」という構造は同じです。
(2)あとは指令に対する応答が遅くなってきた場合。
アクチュエーターや可動部、要は本体が経年劣化等で動きが渋くなると、健全な状態に比べて明らかに開閉の動作が遅くなります。
流量コントロールを行っている現場だと、品質不良の原因です。(炉の失火、薬液の濃度調整に不具合が出る等・・・)
なので、実際に指令に対して開度がずれていなかったとしても、応答が極端に悪くなってきた場合も注意が必要です。
ここまで、(1)と(2)で2つの側面でコントロールバルブの監視対象についてお話ししました。
ちなこのバルブ監視、PLCに指令値と実開度がすでに取り込まれていたので、追加のセンサー投資がゼロでした。※どこの設備も大体取り込んでいると思います。
上司に「費用対効果は?」と聞かれたら「人件費のみだYO!!」と返せるので、最強カードです💳
最近はバルブメーカーが提供する診断サービスや、AI判定(バルブの動作パターンを学習して異常スコアを算出する仕組み)もあります。
さっきの応答の話でいくと、健全な状態の時のバルブの動作を学習し、そこから一定割合ズレたらアラームを出すといったものです。
あるメーカーさんに聞いたところ、色んなお客さんの現場でシステムを導入してから実運用までは1年強かかるみたいですが、導入してからはめちゃくちゃ強いようです。
まあいずれにせよ指令と実開度のズレを見る。これが基本中の基本です。
高度なツールは「基本の監視ができた上で精度を上げる」ためのものです。
■CBMが成立した条件(バルブの場合)
① 監視できるパラメータがある(指令値と実開度、そして応答。どれもPLCで取れる)
② 閾値が決められる(正常時のズレ量±2%を基準にして、±5%超えでアラーム、応答の場合は指令がでてから何秒以内等)
③ データが取れる仕組みがある(PLCで取り込み済み。追加投資ゼロ)
振動計のベアリング監視とはチェックポイントの表現が違いますが、共通点は明確です。
「前兆がデータで見える」
「トレンドが取れる」
「猶予がある」
この3条件が揃うかどうか。
定期交換をやめていい条件・やめちゃダメな条件
2つの実例から、整理します。
やめていい条件(CBMに切り替えられる)
① 故障の前兆が、監視可能なパラメータに出る(振動、温度、電流、開度ズレ等)
② トレンドが取れる(徐々に悪化する故障モード。一瞬で壊れるものはCBMに向かない)
③ 前兆から故障までに、計画停止を組む猶予がある(前兆が出て翌日壊れるなら猶予がない)
3つ全部満たしていれば、CBMに切り替えを検討できます。
逆に言えば、1つでも欠けたらTBMを続けてください。
やめちゃダメな条件(TBMを続けるべき)
上の内容と被りますが、以下のようになります。
① 前兆なく突然壊れる故障モード(電子部品の突然死、コンデンサのパンク等)
② 壊れたときの被害が甚大で猶予がない(安全装置、保護回路等。壊れてから気づいたでは遅い)
③ 監視する手段がない、またはコストに見合わない
盤内の熱で壊れやすい部品と、壊れる前に出るサインで書いた電解コンデンサや電子基板は、まさに①の典型です。
前兆がほとんど外に出ない。
出たときにはもう壊れている。
こういう部品は「状態を見て判断する」が成立しないので、TBMで時間管理するのが正解です。
②も見落としがちです。
たとえば安全インターロックに使っているリレー。
動作頻度が低いから「劣化してなさそう」と思って定期交換をやめた結果、いざというときに接点が溶着していて保護が効かなかった。
……これ、洒落にならないです。
安全装置の「壊れた」は、設備が止まるだけじゃなくて人が怪我をする可能性があります。
ここはコスト削減より安全側に倒す一択。TBM続行です🛡️
交換周期を伸ばしたいとき
「CBMに切り替えるほどではないけど、交換周期を伸ばしたい」というケースも多いです。 判断基準は同じです。
伸ばすなら根拠(データ)が要ります。
「壊れてないから大丈夫」は根拠にならないです。
「この状態監視で、振動値がベースラインの1.2倍以内に収まっている。過去5年のトレンドから、あと2年は閾値を超えない見込み」。
ここまで言えるかどうかです。
根拠なしで交換周期を伸ばすのは、ただのギャンブルです🎰
「まだ壊れてないから次も壊れないでしょ」は「まだ赤出てないから次も赤出ないでしょ」と同じロジックです。 ルーレットかよ。
逆に、根拠があるなら堂々と伸ばせます。
「振動トレンドが安定しているから、交換周期を2年から3年に変更する。根拠はこのデータ」。
これなら上司にも経営層にも説明が通ります。
「なんとなく伸ばしました」と「データに基づいて伸ばしました」では、会議室での説得力が全然違います。
それからもう1つ。
「撤去した部品があとどれくらい使えたか」は、基本的に分かりません。
ベアリングを交換して、撤去品を見て「まだ使えたじゃん」と言う人がいます。
気持ちは分かります。
でもそれ、結果論です。
外から見て「まだ使えそう」と「あとX時間使えた」はまったく別の話です。
分解して寿命試験でもかけない限り、残存寿命は分かりません。
「まだ使えたじゃん」「交換が早すぎた」の議論は不毛です。
議論すべきは「やめていい条件を満たしているかどうか」。
感覚ではなく条件で判断する。それだけです。
CBMへの切り替えも、交換周期の延長も、
最終的には「壊れたらいくら損するか」「CBMで監視すればどこまでリスクを下げられるか」を数字で説明できるかどうかに帰着します。
ベアリングの突発故障で4時間のライン停止が発生したら、損失額は〇〇万円。
CBMで計画交換に切り替えれば突発停止ゼロ。
この比較を出せると、上司も経営層も「じゃあCBMやろう」になります。
現場の「やばい」を会議室で通じる数字に変える。
ここが保全DXの本丸です💪
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