ご安全に!まんぬです👷♂️⚡
故障記録を「書かされるもの」だと思っている人、案外多いです。
上から記録を残せと言われるから書いてる。でも誰もそのファイルを開かない。
書いた本人すら、二度と見返さない・・・
タイムカプセルと間違えてないですか?🤪
故障記録は本来、
「設備更新の予算を通す」
「人員を増やす根拠にする」
「メーカーに改善を要求する」
ための武器です。 未来の稟議書なんです。
「上に話が通らない」と嘆く前に、通すための弾(データ)を持っているかどうか。
記録を武器に変える考え方を、この記事で整理します。
「3年で5回壊れてます」が言えるかどうか
上に設備更新を提案するとき、「もう古いので更新したいです」だけでは通らない現場も多いと思います。
これだけだと、「まだ動いてるでしょ」、「延命しろ」で終わってしまいますからね。
ワイも何回言われたか分かりません、まだ動いてるでしょ。
いやね、動いてはいるけど、もう瀕死なのよ😇
どうすれば話が通るようになるか。
結論としては、
「この設備は3年で5回故障しています。累計停止時間は40時間です。」
と言えたら、話が変わります。
そうすると、上は「それはまずいな」となります。
現場の「ヤバい」を、上が判断できる数字に翻訳できた形になります。
No1記事でも書いてますが、これが保全の記録の仕事です。
さらに金額で出せれば最強です。
「停止損失の累計は○○万円です。更新費用より高くつきます。」
これが言えたら稟議はほぼ通ります。
ただ、金額の算出が難しい場合が多いです。
・停止1時間あたりの損失額が分からない。
・間接損失まで含めると計算が複雑になる。
・経理や生産管理が持ってればまだいいですが、そもそも算出出来ていないパターンも多々あると思います。
金額が出せなくても大丈夫です。
「3年で5回、累計停止時間40時間」。これだけでも十分に武器になります。
停止時間は金額より分かりやすいですし、保全として、上が「それはまずい」と判断する材料には十分です。
ただし、この数字を出すには故障記録が整理されている必要があります。
「原因不明」を放置しない:分類して次の一手を決めるで書いた「原因不明の故障が3年で5回」も同じです。
記録があるから言える。
記録がなければ「最近故障が多くて」になってしまいます。
これで稟議が通ったことは、ワイの経験では一度もないです🙃
記録が武器にならない工場の共通点
「記録はあるのに、武器になっていない」工場には共通点があります。
ワイが見てきた限り、だいたい3パターンのどれか(または全部)に該当します。
①「直った」しか書いてない
故障記録を開いたら、対応欄に「復旧済み」しか書いてない。
何をして直ったのかが不明。
交換したのか、リセットしたのか、叩いたのか。
叩いて直ったなら叩いて直ったと書いてほしいんですよ。
それはそれで重要な情報です🔨
何をして直ったかが分からないと、次に同じ故障が来たときに過去の記録が参考にならない。
しかも集計しても「故障→復旧」しかデータがないので、傾向分析もできません。
② 記録のフォーマットがバラバラ
人によって書く粒度が違うパターンです。
Aさんは故障の経緯・原因・対策まで5行書く。
Bさんは「モーター交換」の1行で終了。
Bさんの記録を開いたときの気持ち、分かりますか?
多分ワイの職場にいたらいじめられると思います。(嘘)
粒度がバラバラだと集計できません。
「この設備の故障原因で一番多いのは何か」を出そうとしても、Aさんの記録には原因が書いてあるがBさんの記録には書いてない。
データに穴がある状態で傾向分析をしても、結論が出ません。
まあ、書いてあるだけまだマシなんですけどね。
③ 記録はあるが検索・集計できない
紙に手書き。もしくは構造化されていないExcel。
自由記述だけのベタ打ちで、ピボットテーブルも何も効かない。
10年分の記録が溜まっていて、「データはあります!」と胸を張って言えるのに、いざ「じゃあ傾向出して」と言われたら何も出せない。
「データはあるけど何も言えない」。
これが一番つらいやつです💀
このパターンの解決策はExcelの故障記録を”分析できる形”に変えるで整理しています。
プルダウン化と記入ルールの設定だけで、状況はかなり変わります。
①②③のどれかに当てはまったら、記録は「存在するだけのファイル」になっています。
存在するだけで武器にならないファイル。 引き出しの中で眠っている故障報告書、何枚ありますか?
武器になる記録に必要な項目
「原因不明」を放置しない:分類して次の一手を決めるで書いた4項目を覚えていますか?
① 何を調べたか
② 何が分かったか
③ 何が分からなかったか
④ 次に再発したら何を確認するか
この4つは「原因不明」の故障に対して、次の担当者に引き継ぐための記録です。
これに加えて、稟議の根拠にするには以下の項目が必要になります。
ワイが実際の故障分析で使っている項目を並べます。
1. 日時(いつ発生したか)
2. セクション(どのエリア・ラインか)
3. 電気品(どの機器・部品か)
4. 故障モード(どのように壊れたか:焼損・断線・動作不良 等)
5. 故障原因(なぜ壊れたか:経年劣化・過負荷・設定ミス 等)
6. 故障対応人数(何人で対応したか)
7. 設備停止時間(ラインが止まった時間)
8. 修理対応時間(実際に修理にかかった時間)
9. 対応者(誰が対応したか)
10. 故障概要欄(自由記述。状況の詳細)
「これ全部やんの?」って声が聞こえてきそうですが、全部いきなり完璧に記録する必要はないです。
まず「設備停止時間」と「故障モード」と「故障原因」の3つだけでも揃えてください。
この3つが揃えば、集計して稟議の根拠にできます。
「対応人数」と「修理対応時間」があると、さらに強くなります。
人件費の算出に使えるからです。
「この故障に毎回3人×2時間かかっています」は、コスト感を上に伝えるのにかなり効きます。
ポイントを2つだけ。
1つ目。
上の項目はワイの現場のものです。
自分の工場に合わせてカスタマイズするのが前提です。
「焼損」「断線」などの故障モードも、工場によって出やすい壊れ方が違います。
2つ目。
大事なのは「誰が書いても同じ粒度になる」ことです。
故障モードや故障原因はプルダウン選択式にすると粒度が揃います。
フリーテキストだと「モーター異常」「モータ不良」「M故障」で表記揺れが発生して集計不能になります。
このあたりはExcelの故障記録を”分析できる形”に変えるで詳しく書いています。
記録を「稟議書」に変換する考え方
故障記録が蓄積されたら、いよいよ武器にする段階です。
現場の「ヤバい」を、経営が判断できる「数字」に翻訳する。
以下の3ステップで、記録を稟議の根拠に変換できます。
ステップ1:設備ごとに集計する
故障件数・停止時間・コスト(出せれば)を設備ごとに集計します。
「この設備は過去3年で何回壊れて、累計何時間止まったか」を出す。
これだけで「どれがヤバいか」が一目で分かります。
逆に、これが出せないと「なんとなくヤバい気がする」しか言えません。
「なんとなくヤバい気がする」で稟議を出したら、100%却下されます😇
「原因不明」を放置しないで書いた4項目(何を調べたか・何が分かったか・何が分からなかったか・次に何を確認するか)が記録に残っていれば、「原因不明の故障が3年で5回」も集計に乗ります。
原因不明だから集計から外す、ではないです。
原因不明であっても「件数」と「停止時間」は事実として積み上がります。
ステップ2:このまま使い続けた場合を推定する
過去3年のデータから、「年間の故障頻度 × 平均停止時間」で推定します。
金額が出せれば「年間の故障コスト(停止損失+修理費+人件費)」を計算してください。
これが最も説得力があります。
経営層は「危ない」より「いくら損してるか」、実績で伝えた方が響きます。
現場の言葉と会議室の言葉は、通貨が違うんです💴
金額が出せなくても、「年間X回停止、累計Y時間」で十分です。
「このまま使い続けると、年間5回停止・累計15時間のラインストップが続きます」。
これだけで上は「うーん……」となります。
ステップ3:更新した場合と比較する
ここが稟議書の核です。
「更新費用A万円」vs「年間故障コストB万円 × 残り使用年数」。
この比較ができれば、「更新した方が安い」が数字で示せます。
金額の比較が難しければ、「更新費用A万円」vs「年間X回の停止をあと何年続けるか」でもいい。
「300万円の更新費用」vs「年5回、累計15時間のラインストップがあと10年」。 どっちを選びますか?と上に投げる。
保全の仕事は「判断材料を揃えて上に渡す」ことです。
判断そのものは上がする
でも判断材料が無ければ、上も判断しようがない。
「まだ動いてるでしょ」は、判断材料がないから出てくるセリフなんです。
逆に言えば、数字を揃えて渡せば上も逃げられなくなります。
「3年で5回、累計40時間、推定損失〇〇万円」を突きつけられて「まだ動いてるでしょ」と言ったら、もうそれは上の責任です。
保全としてやるべきことはやった。あとは経営判断👔
ちなみに、ステップ3の「金額比較」を自動計算できるツールとして、設備リスク金額化Excelをnoteで公開しています。
リスクを「故障確率 × 影響金額」で算出する仕組みです。
※2026/4/19現在、パワーアップに向けた上方修正中で、一時販売中止してます。
ここまで読んで「考え方は分かった。でもフォーマットを自分でゼロから作るのは面倒だな」と思った方もいるかもしれません。
故障記録のテンプレート一式も準備中です。
公開したらブログでお知らせします。
記録は書かされるものじゃないです。
予算を動かすための武器です。
「この設備は3年で5回壊れてます。累計停止時間は40時間です。更新費用は300万円。このまま使い続けた場合の故障コストは年間○○万円です」。
これが言えるかどうかで、稟議の通りやすさが全然違います。
そしてこれを言うために必要なのは、日々の故障記録です。
未来の稟議書、今日から仕込んでいきましょう💪
次に読む記事
故障記録を「分析できるデータ」に変えるための考え方と最低限やることはこちら。
👉Excelの故障記録を”分析できる形”に変える
「原因不明」の故障を分類して、次の一手を決める考え方はこちら。
👉 「原因不明」を放置しない:分類して次の一手を決める
この記事で書いた「故障記録を稟議の根拠に変える」を、実際に現場で回すためのツールを作りました。
設備ごとのリスクを「故障確率 × 影響金額」で算出して、 更新の優先順位を揉めない形で整理できるExcelテンプレートです。
「危ないのは分かるけど、数字で説明できない」を解決するために作ったものです。
https://note.com/mannu_bot



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