ご安全に!まんぬです👷♂️⚡
先日の話です。 夕方16時すぎ、ある設備が限界を過ぎて走行し、停止しました。
原因は現場のオペレーションミスです。
設備が異常な動作をして停止。復旧見積もりは3時間。
走行減の近接が2線式だったので、検知外れた時に残ってしまったようでした。
(こういうことが多いので最近は2線式の近接はやめて3線式に変えていっています)
で、普通なら保全呼ぶところを、現場が自分で勝手に判断して外したようです。
ちょwwwインターロック外すなwwwwww
それ何のために付いてると思ってんのwwwww
・・・てな感じで16時から復旧開始。
損傷箇所を特定して、部品を交換して、配線しなおして、ようやく動作確認。
汗だくのまま試運転を見届けて、終わったのは20時すぎでした。
ぶっ壊した等の本人たちはとっくに定時で帰っています。
定時で上がって、自宅でくつろいでいたのでしょう。
ワイは20時から夜勤の交代が来るまで、誰もいない現場で片づけと報告書を書き続けます。
保全は夜勤が始まるまで代わりがいないんです( ˙-˙ )
この状況、保全をやっている人なら一度は経験があるのではないでしょうか。
「あるある」で済ませてしまいがちですが、今日はこの構造を真面目に分解してみます。
なぜワイたちだけが残るのか。
それは「仕方ない」で片づけていい問題なのか。
なぜ保全だけが残るのか──3つの構造要因
「保全だけが残る」は、個人の問題ではないです。
構造の問題です。構造要因を3つに分解します。
構造要因1:保全は「最終責任部署」のように位置づけられている
設備が止まったら、原因が何であれ、復旧するのは保全の仕事です。
オペミスだろうが、経年劣化だろうが、雷だろうが関係ない。
「設備が動かない=保全が直す」
これは職務分担として正しいです。
一方、オペレーター側の職務は「運転」です。
設備を動かすのが仕事であって、直すのは仕事ではない。
この職務分担が、「最後まで残るのは保全」という不文律を成立させています。
つまり保全は、原因に関係なく「最後に立っている部署」として設計されています。
これは誰かが悪いという話ではなく、組織構造そのものの特性です。
構造的に「最後の1人」になるようにできている。
なんだかザコパーティ介抱する僧侶みたいですね・・・
構造要因2:オペミスの責任所在が曖昧な現場文化
「人間誰だってミスする」
「ヒューマンエラーは仕方ない」
この言葉自体は正しいです。安全工学の基本です。
しかし現場では、この考え方が「オペミスを起こした個人に追加の責任を求めない」
という暗黙のルールに変換されていることがあります。
始末書もなし。残業もなし。再発防止の主導もなし。といった具合に。
その結果、オペミスの後始末コスト(残業・部品代・停止損失)が全部保全側に流れます。
ミスした側は定時で帰り、後始末した側が残業する。
構造的に、コストの負担先が片方に寄っている状態です。
ワイら保全マン、完全にサンドバッグ状態ですよ😇殴られ損の殴られ放題。
補足しておくと、個人を責めるべきだと言いたいわけではないです。
「ミスした個人」ではなく「ミスの後始末コストをどこが負担するか」の話です。
コストの流れ先が構造的に偏っている、という問題です。
構造要因3:保全人員の慢性不足
昼夜のシフトが薄いです。
夜勤の交代が来るまで、誰も代わりがいない。
だから昼勤の保全が残業して対応するしかない。
「保全に押し付ければ何とかなる」が成立しているのは、保全が何とかしてしまうからです。
何とかしてしまう保全マンが、何とかしてしまう人員構成の中で、何とかし続けている。
これ全部やんの???
はい、全部やるんです🫠
経営は「保全を増やす」より「現場で頑張ってもらう」を選び続けます。
なぜなら、今のところ回っているからです。
回っている限り、増員の優先度は上がりません。
人手不足の問題とその対策は保全の人手不足を「人を増やす」以外で解消する5つの方法で整理していますが、根本には「保全に押し付ければ回る」という構造が横たわっています。
ここまでの3つは、犯人探しではないです。
「なぜこの構造が成立してしまうのか」を可視化しただけです。
構造が見えれば、どこを変えればいいかも見えてきます。
本来あるべき姿──オペミスの後始末は誰が担うべきか
「オペミスの後始末は誰が担うべきか」を真剣に整理すると、答えは3つに分かれます。
1つ目。復旧作業は保全が担います。
これは妥当です。技術的に保全しか直せない。ここに異論はないです。
ここまではいい。問題はここからです。
2つ目。オペミスの再発防止策の主導はオペレーター側組織が担うべきです。
原因が教育なのか、手順書なのか、現場文化なのか。
いずれにしてもオペレーション側の問題なので、オペレーター側が主導して再発防止を回すのが筋です。
3つ目。保全人員配置の最適化は経営判断です。
突発対応のキャパシティを確保するための増員・配置見直しは、現場ではなく経営が決めることです。しっかり現場の状況を見て把握するべきですが、まあそこまで見てる人はほとんどいないんじゃないでしょうか。
現状、この3つが全部保全部門に押し付けられています。 復旧も、再発防止も、残業コストも、人員不足も、全部保全。
保全「ワイ、過負荷トリップしてる🔥」
ただし、これは「あるべき姿」を整理しているだけです。
明日から現場にすぐ実装できるとは限らないです。
でも、整理しないと交渉のテーブルにすら載せられない。
故障記録は”未来の稟議書”で書いた通り、記録と数字がなければ上は動きません。
「あるべき姿」を言語化して、現状とのギャップを数字で見せる。
それが保全から経営への翻訳です。
じゃあどうする──個人レベルでできる3つのこと
構造の問題だと分かっても、構造を変えるには時間がかかります。 その間に、個人レベルでできることを3つ挙げます。 愚痴で終わらせない。ここからが本番です💪
できること1:データを残す
オペミス由来の故障件数、保全の対応時間、累計残業時間。
これを記録してください。
数字がないと経営は動きません。
「オペミスが多くて困ってるんです」では「気をつけましょう」で終わります。
「オペミス由来の故障は過去1年で12件、保全の対応時間は累計60時間、残業代換算で約20万円です」なら話が変わります。
「気をつけましょう」で設備が直るなら保全いらないんですよ😇
記録の付け方については故障記録は”未来の稟議書”で詳しく書いています。
特に「設備停止時間」「故障モード」「故障原因」の3項目は最低限揃えてください。
データがなければ交渉は始まらないです。
逆にデータがあれば交渉のテーブルに着けます。
データは保全マンの武器です。
できること2:対応フローを文書化する
オペミスが発生したとき、誰が何をやるかを明文化してください。
現状、多くの現場では「保全が全部やる」が暗黙の了解になっています。
暗黙の了解は、ルールではなく慣習です。
慣習を変えるには、まず明文化する必要があります。
文書化の例としては例えば以下の通りです。
① 設備停止の報告:オペレーターが保全に連絡(現状通り)
② 復旧作業:保全が実施(現状通り)
③ 原因の記録:保全とオペレーターが共同で記録を残す
④ 再発防止策の立案:オペレーター側組織が主導
⑤ 再発防止策の実施確認:保全とオペレーターが共同でフォロー
③と④が現状と変わるポイントです。
「保全が全部やる」を「保全+運転側で分担する」に変える第一歩です。
ただ、④を現場に考えさせる場合、気を付けましょう。
相手次第では、保全に設備的な対策を求めて、自分たちでは一切なにもやらないといった状況になりかねません。
ワイの職場にも、オペミスなのに毎回再発防止策を全部設備を管理する保全にやらせて、自分たちは職場懇談会で30分周知で逃げ切ろうとするという、工場で働く人間の風上にもおけないようなやつらがいます。
現場の課長レベルが、保全がいないところで上層部を狡猾に丸め込むのです。
もちろん、ミスをしたくてもできない設備に改造することは必要です。
ただ、すべての設備・装置にそのようなインターロックを設けることは当然できません。
現場が目指すべきところは、明確な作業標準があり、それを末端までしっかり教育出来ていることであるはずで、それが出来ていないのであれば標準化、教育をしっかりやらせなければなりません。
これをやらせないと、いくら設備・保全で対策をとったところでやつらどうせまたやります。
ここはしっかり、追い込んでください。
話を戻して、文書化されていないルールはルールではないです。
「前からそうだから」で回っている運用は、文書にした瞬間に「それ、おかしくない?」と気づける余地が生まれます。
文書は「現状を疑う」ためのツールでもあるんです。
できること3:「保全だけが被る構造」を経営に見せる
できること1で集めたデータと、できること2で文書化したフローを使って、経営に構造を見せます。
見せ方のポイントは、個人の感情ではなく構造の問題として提示することです。
「オペミスで保全ばかり残業させられて不公平です」ではなく、
「オペミス由来の故障は年間12件、保全の対応時間は累計60時間、残業代は約20万円。現状のフローでは再発防止がオペレーター側に戻らないため、同じ構造が繰り返されます」
そのうえで、
「保全人員を増やすか、運転側に再発防止責任を持たせるか、選んでください」という形に持ち込みます。 選択肢を提示するのが大事です。
「何とかしてください」は経営に丸投げしているので、刺さらないです。
感情で訴えると「まあ気持ちは分かるけど」で終わります。
構造で訴えると「じゃあどうするか」に進みます。
この差はめちゃくちゃ大きいです💡
我々保全の感情は正当です。怒りも不満も間違っていない。
しかし、感情だけでは仕組みは変わらないです。
仕組みを変えるには、構造を言語化して、数字で見せて、選択肢を経営に渡す。
回り道に見えますが、これが一番確実なルートです。
ワイも最初は「なんでワイらだけ!!!!」と叫んでいました。
でもそれでは何も変わらなかったです。
数字を揃えて「選んでください」にしたとき、初めて会話が始まりました。
それでも結局相手にされないこともあるんですけどね・・・
それでも保全は誇り高い──まとめ
ここまで構造の問題として書いてきました。
「保全だけが被る構造」は、個人の問題ではなく仕組みの問題です。
仕組みを変えなければ、いくら現場で文句を言っても何も変わらない。
保全の仕事は、誰かが帰った後の現場を最後まで支える仕事です。
それは構造的に損な役回りでもあります。
でも同時に、「設備の最後の砦」としての誇りでもあります。
構造を変える努力をしながら、それでも今夜も現場に立つ。
そのバランスが保全マンの仕事です。
GWですが、ワイも現場で格闘してきます。
皆さんも、無理しすぎないように。
でも一緒にがんばりましょう⚡
次に読む記事
故障記録を「予算を動かす武器」に変える考え方を整理しています。
人が足りない中で保全を回すための5つの方法を解説しています。
このブログでは、工場の電気保全の実務に使えるノウハウを発信しています。 Xでも現場ネタをつぶやいてます
👉 @itsumimario
noteでは、設備リスクを金額で整理して予算判断に使えるExcelテンプレートも公開中です 📊
https://note.com/mannu_bot


コメント